クリニック紹介

ごあいさつ

院長 中島美砂子医療法人健康みらい RD歯科クリニック院長の中島美砂子です。

「いつまでも自分の歯で食べられる喜びを通して、人々が楽しく豊かに暮らせる健康長寿社会に貢献できること。」それが当クリニックの願いです。
RD歯科クリニックの名前はResearch & Developmentに由来しており、「歯髄再生治療の研究成果を実用化につなげる」クリニックとして、2019年8月に開院しました。当クリニックは歯髄再生治療の実用化を通して、ご来院いただいた患者様一人一人に対して、ご自身の歯を大切に守っていただけるよう、そして長く一生、ご自身の「健康な歯」で食を楽しみ、心身ともに豊かな生活をおくっていただけるよう、スタッフ全員一丸となって取り組んで参ります。
また、歯髄再生治療を取り入れようと考えて下さる全国各地の歯科医院の先生方にもこの治療技術を習得していただき、全国の人々の健康長寿に貢献できるよう、全身全霊、普及活動に努めていきたいと考えています。
さらに、40年以上に渡るトランスレーショナルリサーチの経験を生かして、これからも「より効果の高い確実な歯髄・象牙質再生治療法」を目指した研究成果の実用化(Research & Development)に励んでいく所存です。

歯髄再生治療にかける思い

 最初に、歯髄再生治療研究を始めたきっかけをお話させていただきたいと思います。私が学生の頃、今から45年ぐらい前のことですが、虫歯は予防拡大といって、歯の溝で虫歯につながっている部分は虫歯でなくても将来虫歯にならないように予防的に全部削り、歯型をとって金属の詰め物をセメントで接着させていました。それでも、十数年後にはセメントが融けて細菌が侵入し、再び虫歯や歯髄炎になってしまうことが多くみられました。そして歯髄炎がひどくなってしまうと、歯の根っこの中の空洞は分岐の多い複雑な形になっているにもかかわらず、手用器具(ファイル等)で神経(歯髄)を取り除き(抜髄)、根っこの中をお掃除した後、人工物で根っこの中を詰めていました。したがいまして、しばらくすると根っこの分岐の中に残っていた細菌が増えてきて、あるいは詰めた人工物と歯の隙間を通ってお口の外から根っこの中に侵入してきた細菌がさらに根っこの下(根尖歯周組織)にまで侵入し、抜髄後数十年以内に根っこの下が膿んでしまう病気(根尖性歯周炎)になってしまう例が15~20%にみられました。そうなった歯は根っこの治療(感染根管治療)をするのですが、なかなか完全には治らない場合もあり、再度繰り返して治療を行うにつれ悪化し、やがて歯が割れたり、根っこが折れたり、痛みや腫れがひかないなどの原因により、歯を抜かざるを得ない場合が歯髄をなくした歯の45%近くあると報告されていました。このように、歯の歯髄をなくしてしまうこと(抜髄)により数々の弊害が生じ、将来的に抜歯に至ってしまう可能性も高くなるにもかかわらず、実際は神経の痛みをとるために抜髄せざるを得ない状況にありました。その現状に対して、私は、安易な抜髄は避け、『歯髄自身が本来持っている、「炎症を抑える能力(免疫調整能)」と、「自然に治る力を高める能力(治癒・再生促進作用)」を最大限活用して、元の歯髄に蘇らせる再生治療法の開発』を行いたいと強く思い、歯髄再生治療の研究を始めました。

第一段階として、虫歯が深くて歯髄が露出した場合に、その露出部を覆いさらに虫歯で削った部分(窩洞)内に大量の歯(象牙質)を形成促進させる研究を大学院時代に開始しました。その後、歯髄から幹細胞をとり出して増やす(培養)方法を確立し(1991年)、象牙質を作る細胞(象牙芽細胞)の分化を誘導するBMPs (骨形成因子) を直接的に歯髄の露出面に適用して(1990年)、あるいはBMPsで象牙質を作る細胞に変えたものを適用して(2004年)、歯が欠けている部分(窩洞内)に大量の象牙質を形成させることに成功しました。しかしながら、すでに歯髄の炎症が根っこの中全体に広がっている場合には、やはり抜髄せざるを得ないことが判明しました。そこで第二段階として、血管と神経を導く能力の高い細胞(歯髄幹細胞)を新鮮な歯の歯髄からとって増やす方法を確立しました(2008年)。その歯髄幹細胞を抜髄後の根っこの中に移植すると歯髄が蘇ることを世界初で発見しました(2011年)。その後、この歯髄再生治療をさらなる動物実験で確認し(2013年)、臨床研究(2017年)へと進みました。そして最終段階として、研究開始から30年以上が経過して、歯髄再生治療は再生医療新法の管理下でやっと治療に使える状況となりました(2020年)。

歯髄再生治療はなぜ必要か?:歯の健康から健康長寿へ

歯髄再生治療とは、患者様自身のいらない歯(噛み合わせに関係ない智歯や矯正治療のために抜く歯、生え変わる前の乳歯など)からとって増やした歯髄幹細胞を、歯髄を抜いてしまった歯あるいはすでに根っこの下が膿んでいる歯の根っこの中に移植することにより、血管および神経を含む歯髄を元通りに再生させるものです。また、お子様の根っこが完成する前の若い永久歯において、歯をぶつけたなどで神経が死んでしまった場合にも、歯髄を元通りにして、成長が止まった根っこを正常に成長させ、丈夫な歯に完成させることもできます。

従来の治療法では、歯髄を取り除き 歯の根っこの中を人工物で詰めるため、歯髄本来の、歯を維持する機能が失われ、知らないうちに再び細菌が侵入して根っこの下まで炎症が広がったり、割れたり折れたりしてしまうことも多くみられます。これに対し当治療法では、歯を守る歯髄の重要な機能(警告信号である痛みの感覚や、感染抵抗力、象牙質を作る能力、代謝作用および緩衝作用等)を回復させることができ、また、再生された歯髄面を覆う象牙質(被蓋象牙質)を残った歯との間に隙間なく作らせることができます。これにより、再び虫歯になったり炎症を起こすのを防ぐことができるようになります。また、再生された歯髄の働きにより、象牙質は歯冠部のみならず、これまでの根っこの治療により薄く弱くなってしまった根っこの先(根尖部)の壁に象牙質やセメント質が添加されて元通りの根っこの形に戻せるため、歯が折れたり割れたりを防げます。さらに最近では健康な歯髄があれば根っこの下(歯根膜や歯周組織)も健康に保つことができることがわかってきました。このように、歯髄再生治療は理想的な根っこの治療法と考えています。

たかが一本の虫歯からでも歯髄を失うとやがて歯を失い、ブリッジや入れ歯により 隣の歯にも影響を及ぼし、どんどん歯を失う原因を作ってしまいかねません。歯を失うとお口の機能が低下し(オーラルフレイル)、さらに生活する上で必須の筋肉や身体の機能が低下し、ひいては要介護状態になってしまうことが懸念されています。これを負の連鎖と呼んでいますが、超高齢化が進む中では、大きな社会問題でもあります。歯髄再生治療法はこのような負の連鎖を断ち切るもので、歯の寿命を高めることにより、オーラルフレイルの予防、人々の健康長寿に繋げることを目指しています。

中高齢者の感染根管歯に対する歯髄再生治療

根っこの治療を必要とする人は、現在では45歳以上の中高齢者に多くみられるようになっています。

特に中高齢者では、感染根管歯で根っこの下が膿んで慢性的に炎症をかかえている病巣(根尖病変)があると、心疾患や脳血管疾患を引き起こす可能性が高くなるといわれています。また、全身的に軽度の炎症が生じている代謝疾患(糖尿病や高血圧、脂肪性肝炎、骨折、関節リウマチなど)を悪化させるといわれています。根っこの治療は、必要な場合でも自覚症状がないため放置されることが多く、中高齢者は根尖病変により全身状態を悪化させてしまう可能性があります。また逆に、全身状態が悪くなると根尖病変が治りにくくなります。したがいまして、中高齢者にとって根っこの治療をしっかり行って除菌し、根尖病変を作らないようにすること、あるいはできた根尖病変をなくすことは全身の健康を保つために重要と考えています。

歯髄再生治療では、歯髄を再生させるためには、通常の根っこの治療と異なり、根っこに残る細菌のレベルをかなり下げた状態にしてから細胞を移植する必要があります。当クリニックでは、ナノバブル水と抗菌剤を用いた除菌法により、根っこの中の除菌をしっかり行います。また、除菌できたことを細菌培養検査等により確認してから、細胞の移植を行います。これにより、根尖病変をなくす、あるいは治療後の根尖病変の再発を防止することができ、心・脳血管疾患や代謝疾患の予防も可能となります。

新たな歯髄再生治療技術の研究・開発への取組

一般に中高齢者は傷や病気の治りが悪いことが知られていますが、歯髄再生治療は歯髄幹細胞をとれるご自身のいらない歯があれば、年齢も70歳未満まで受けられるようになっています。また、ご自身にいらない歯がない場合でも、本歯髄再生治療を受けていただけるように、他人からいただいた歯髄幹細胞を用いる他家(同種)移植の臨床研究を2024年には開始予定です。さらに、根っこの中が長く腐った状態を放置していた歯でも、患者様の根っこの中の状況(微小環境)の改善により、短期間で高い効果が得られるような歯髄再生治療促進法のinnovationも進めております。

歯髄再生治療の普及に向けた取り組み

当クリニック院長は、患者様が全国どこでも歯髄再生治療を同様に受けていただけるように治療を普及させる目的で立ち上げられた「一般社団法人歯科再生医療協会」に対して、技術情報等を提供して、普及のご協力を行っています。すなわち、一般社団法人歯科再生医療協会が主催する導入セミナーや技術講習会、細胞調製講習会、さらにはスタッフの皆様に対する歯髄再生治療補助セミナー等において、市中の先生方の治療技術習得のためのご指導を協力しています。また、院長自ら特定認定再生医療等委員会を立ち上げ、市中の先生方が再生医療提供計画書を提出して厚生労働省の受理をいただくための様々な障壁を軽減させていただいております。また、先生方が治療開始後も安全に有効に治療をしていただくための技術協力等も歯科再生医療協会を通じて行っております。

略歴

1988年 九州大学大学院歯学研究科卒(歯学博士)
1988年 九州大学歯学部歯科保存学第二講座 助手
1991年 文部省若手在外研究員(米国国立衛生研究所留学)
1995年 文部省国際共同研究 (ジョンズホプキンス大学留学)
1997年 文部省国際共同研究(ニューヨーク大学留学)
2005年 国立長寿医療研究センター 口腔疾患研究部 室長 
2011年 国立長寿医療研究センター 再生歯科医療研究部 部長
カリフォルニア大学デイビス校医学部組織再生センター客員教授
2014年 厚生労働省薬事・食品衛生審議会委員
2014年 国際歯科研究学会(IADR) Distinguished Scientist Award
2015年 国立長寿医療研究センター幹細胞再生医療研究部部長
2017年 国際歯科研究学会(IADR) 歯髄生物・再生研究会 会長
2019年 RD歯科クリニック 院長
2022年 医療法人健康みらい RD歯科クリニック 理事長

所属学会

  • 日本歯科保存学会(専門医、指導医)
  • 日本再生医療学会(認定医)
  • 日本歯内療法学会
  • 国際歯科研究学会
  • 日本マイクロ・ナノバブル学会(評議員)

受賞歴

2014年 International Association for Dental Research Distinguished Scientist Award for Pulp Biology of Regeneration
2017年 The 2017 Journal of Endodontics Awards

主な論文・総説

【原著】
【総説】
  • 中島美砂子、庵原耕一郎:歯髄再生治療:実用化に向けた取り組み 日本歯科保存学雑誌 64(3): 2021.
  • 中島美砂子、庵原耕一郎:―患者まで届いている再生医療―「歯髄・象牙質再生治療の現状」 日本再生医療学会雑誌 2019. 
  • Nakashima M, et al.: The application of bone morphogenetic proteins to dental tissue engineering. Nature Biotech. 2003.

歯科医師紹介

佐々木 晴義

佐々木 晴義

略歴
1967年 千葉県千葉市生まれ
1991年 昭和大学薬学部 卒業
1991年 広島赤十字原爆病院 勤務
1997年 昭和大学歯学部 卒業
1997年 昭和大学歯科病院 勤務
2002年 東京都世田谷区にて個人開業医 
2010年 地方薬剤師会所属薬局 勤務
2014年 個人開業医にて勤務医
2023年 RD歯科クリニック 勤務
現在に至る
資格
  • 歯科医師
  • 薬剤師
所属学会
  • 日本歯科保存学会
  • 日本歯内療法学会
  • 日本レーザー歯学会
  • 日本外傷歯学会
  • 日本小児歯科学会
  • 日本歯科薬物療法学会

設備紹介

手術室

クリーンベンチ

クリーンベンチ建物内のアエラスバイオ㈱歯髄細胞培養センターから輸送されてきた歯髄幹細胞をクリーンベンチ内で解凍し、薬剤と混ぜ、移植用に調製します。
外部からの細菌や塵埃の混入(コンタミネーション)を防ぎ、無菌状態で作業できます。
二次汚染も防ぐことができます。

歯科ユニット

歯科ユニット培養した歯髄幹細胞の移植治療を行います。手術用顕微鏡により、細かい部分まで確認できます。

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